2019 年 37 巻 2 号 p. 116-120
生体内に豊富に含まれる水分子の拡散は,これを拘束する微細構造の特徴を反映している.拡散MRIは,単一あるいは異なる複数の撮像設定による拡散強調撮像手法およびそのデータの総称であり,特に脳神経領域の生体構造の可視化や定量化において必要不可欠である.よく知られた拡散テンソル撮像法のみならず,さまざまな撮像法により,生体構造の新たな情報がもたらされる.本稿は3回にわたる拡散MRI講座の第1回として,拡散強調像の基礎から信号値モデルとそのパラメーター推定を含む拡散MRIの概要を解説する.