2021 年 39 巻 1 号 p. 8-12
国立情報学研究所では,学術情報ネットワークSINET5でアクセス可能なクラウド基盤を構築し,そのクラウド基盤に医学系の6学会から順次画像データを受け入れ,AI画像解析の技術開発を行ってきた.放射線画像については,日本医学放射線学会が運用している日本医用画像データベース(J-MID)からCT画像を悉皆的に受け入れてきた.2020年10月までに1.8億枚以上の画像を受け入れてきた.一方,2019年末ごろに発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)症例の中には,COVID-19特有の肺炎を示すCT画像が存在する.そこで,日本医学放射線学会から追加の付随情報を得てAI画像解析を始めている.この解析には複数の大学が参加しており,共通のデータを使うことが重要になる.そこで,膨大なデータの中から解析の対象となるデータを抽出し,解析研究者から生成された情報を共有する仕組みを作った.