2025 年 43 巻 5 号 p. 148-153
本稿では,加速MRI画像の再構成を行うために,分割統治法の考え方をもとにするアルゴリズムに対して,拡散モデルを用いた事後確率サンプリングを導入する手法を解説する.MRI画像撮影の際には,必要な信号計測に長い時間を要するため撮影に数十分から一時間程度が必要となる.加速MRIでは,撮像時間短縮のために信号の計測を間引くため,画像再構成が不良設定問題になる.提案法では,拡散モデルを利用し計測信号に基づく事後確率サンプリングを導入する.そして,サンプルした画像のフーリエ変換像に対して再構成精度を成分ごとに推定し,確度の高い周波数列を順番に採用することで,少しずつ拘束を増やしながら画像の再構成を行う.また,サンプルが確率変数であることを利用して簡単な統計量をもとに再構成結果の信頼性を可視化する枠組みも同時に提案する.本提案法について実画像を用いた実験結果を報告する.