抄録
本研究の目的は,組織慣性にかかわる管理会計領域のこれまでの研究を概観するとともに,既存研究が論じていない管理会計と組織慣性との関連性について,研究領域の拡張を試みることである。まず組織慣性にかかわる管理会計領域のこれまでの研究,具体的には管理会計変化およびマネジメント・コントロール(MC)についての代表的な既存研究を概観したうえで,これらの既存研究がいまだ論じていない管理会計と組織慣性との新たな関連性について,Simonsの4つのコントロール・レバーを理論的枠組みとした探索的分析を行った。構造方程式モデリングによる分析の結果,既存研究では明らかにされていなかったMCと組織慣性との関連性の存在が示唆された。