2010 年 22 巻 2 号 p. 72-76
ポリビニルピロリドンを含む透明なインク受容層をポリエステルフィルム上に調製した.この被記録材の350~800nmにおける吸光度は0.01未満であり,ほとんど吸収がみられなかった.被記録材を水に14日間浸漬したところ印刷したカラーパターンに大きな変化はなく,塗膜の剥離ならびに白化は見られなかった.また,促進耐候試験144時間でマゼンタを除くブラック,シアン,イエローの色保持率は50%以上であった.これらの耐性はメラミン-ホルムアルデヒド樹脂の自己縮合反応によるセミ相互貫入高分子網目構造(SIPN)の形成とカルボキシル基を有するモノマーのテンプレート重合によるポリマーコンプレックス形成による親水的かつ緻密なインク受容層の形成を示唆している.