マテリアルライフ学会誌
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建築材料としてのポリウレタン発泡体の燃焼性と熱分解特性
宮原 康弘渡邉 佑典上野 智永山下 武彦水野 孝志郎石川 朝之武田 邦彦
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2010 年 22 巻 2 号 p. 64-71

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抄録

建築材料として使用されるポリウレタン発泡体およびスギ材を対象として燃焼性および熱分解特性について検討を行った.ポリウレタン発泡体は急速に燃焼するのに対して,スギ材では燃焼継続時間が極めて長いことが見られた.また燃焼試験時の燃焼速度を測定した結果,理想的に同一質量のポリウレタン発泡体と木材が燃えた場合,ポリウレタン発泡体の方が発熱量は大きな材料であることが示唆された.熱分解特性についてみると,熱重量測定ではポリウレタンの原料であるイソシアネート,ポリオールの種類によって重量減少曲線が非常に大きく異なっており,スギ材はそれらの中間の挙動を示した.熱分解生成物については,ポリウレタン発泡体の場合には原材料であるポリオールやポリエーテルに由来した分解生成物が同定され,またイソシアネート末端がアミンに置換された生成物なども多く観測された.一方,スギ材では木材の主成分を占めるセルロースやリグニン由来の分解生成物が観測され,特にアセトアルデヒドヒドロオキシの生成量が多く見られた.

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