2012 年 24 巻 2 号 p. 77-81
ローソクには和ローソクと洋ローソクがある.両者には成分の違いがあり,また和ローソクでは産地によって違いがあることが考えられる.このため,本研究では主に和ローソクについて,熱分析,ガスクロマトグラフィー/マススペクトロメトリー(GC/MS)および赤外分光分析法で和歌山県産,四国産,九州産および中華人民共和国産の4種の和ローソクと洋ローソク1種について分析した.その結果,以下のことが明らかとなった.
1)和ローソクの主要成分は産地によらず同じであり,パルミチン酸を主成分として,少量のオレイン酸より構成されるグリセリンエステルであることがわかった.中華人民共和国産に極わずかな第3成分があることを除いて,産地間の違いはあまりなかった.
2)洋ローソクは炭素数20~42個のパラフィンが主成分で,これら分子の混合物であることが明らかとなった.また,若干の脂肪酸も存在することが確認された.