マテリアルライフ学会誌
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温水用ポリエチレンの耐久性に関する銅イオン及び空気加圧の影響評価
本間 秀和松尾 尚子伊東 寛山田 和志西村 寛之
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2018 年 30 巻 1 号 p. 1-10

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抄録

温水用ポリエチレン(PE)管の劣化因子として,金属継手や配管から溶出すると考えられる銅イオンによる影響を調べるために,銅イオンを含み,空気加圧された温水中にて試験片の浸漬試験を行った.試験片の劣化状態は,外観観察,浸漬時間と酸化誘導時間の測定値(OIT値)の関係や試験片の表面及び断面でのFT-IRによるカルボニル基等の解析にて調べた.98°C温水中に3,000ppmの銅イオン添加と空気加圧0.4MPaや0.7MPaの環境下で浸漬時間5,000h後,試験片の端部にき裂が多数発生し酸化層が生じていた.また,浸漬時間7,000h後では,銅イオン添加と空気加圧0.4MPaや0.7MPaの環境下で,銅イオン無添加でも空気加圧0.7MPaで試験片全体にき裂が発生し酸化層が生じるのが確認された.銅イオン添加により,浸漬時間と共にOIT値の低下が加速されることがわかった.銅イオンの添加や空気加圧により,ESR測定による有機ラジカル量の増加から,自動酸化反応が促進されることが考えられた.また表面から深さ方向に切削した試験片をICP-MS分析して得られた銅含有量の測定から,銅イオンがポリエチレン内部に侵入していることがわかった.

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