マテリアルライフ学会誌
Online ISSN : 2185-7016
Print ISSN : 1346-0633
ISSN-L : 1346-0633
30 巻, 1 号
選択された号の論文の2件中1~2を表示しています
報文
  • 本間 秀和, 松尾 尚子, 伊東 寛, 山田 和志, 西村 寛之
    2018 年 30 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 2018/02/28
    公開日: 2022/03/03
    ジャーナル フリー

    温水用ポリエチレン(PE)管の劣化因子として,金属継手や配管から溶出すると考えられる銅イオンによる影響を調べるために,銅イオンを含み,空気加圧された温水中にて試験片の浸漬試験を行った.試験片の劣化状態は,外観観察,浸漬時間と酸化誘導時間の測定値(OIT値)の関係や試験片の表面及び断面でのFT-IRによるカルボニル基等の解析にて調べた.98°C温水中に3,000ppmの銅イオン添加と空気加圧0.4MPaや0.7MPaの環境下で浸漬時間5,000h後,試験片の端部にき裂が多数発生し酸化層が生じていた.また,浸漬時間7,000h後では,銅イオン添加と空気加圧0.4MPaや0.7MPaの環境下で,銅イオン無添加でも空気加圧0.7MPaで試験片全体にき裂が発生し酸化層が生じるのが確認された.銅イオン添加により,浸漬時間と共にOIT値の低下が加速されることがわかった.銅イオンの添加や空気加圧により,ESR測定による有機ラジカル量の増加から,自動酸化反応が促進されることが考えられた.また表面から深さ方向に切削した試験片をICP-MS分析して得られた銅含有量の測定から,銅イオンがポリエチレン内部に侵入していることがわかった.

技術報文
  • 湯淺 明子, 島 岐宏, 徳満 勝久
    2018 年 30 巻 1 号 p. 11-17
    発行日: 2018/02/28
    公開日: 2022/03/03
    ジャーナル フリー

    本研究では,-100°C以下の低温環境における積層フィルムの経年予測に関し,ヒートショック試験による加速試験と,マスターカーブによる経年変化を予測する手法とについて検討を行った.積層フィルムは,ナイロンフィルム,アルミニウム箔,ポリエチレンフィルムを接着剤で貼り合せた試料を使用し,ヒートショック試験では,環境温度-130°Cと25°Cに交互に暴露した.ヒートショック試験において,サイクル数増加に伴う動的引張弾性率の変化を確認したが,サイクル数に該当する経過年数が不明であったため, マスターカーブによる経年予測を行う手法との組み合わせについて検討した.その結果,一例として,マスターカーブによる1年経過に該当するヒートショックサイクル数が,70回であることがわかった.このようにして,ヒートショックサイクル数に該当する経過年数を決定した.また,複合材料である積層フィルムのマスターカーブを低温環境下で合成するにあたり,構成材料ごとの線膨張係数が異なることにより,弾性率を正しく計測できず,その結果,マスターカーブが正確に合成できていない可能性が考えられた.そこで,積層フィルムの構成材ごとに動的引張弾性率を計測し,体積分率との積より複合則により合成したマスターカーブと,積層フィルムのマスターカーブとを比較することで,積層フィルムの実測値から得たマスターカーブの妥当性検証を行った.その結果,複合側に従い算出したマスターカーブと,実測値から得たマスターカーブが測定器公差の範囲(10%以内)で合致したため,本検討で用いた積層フィルムのマスターカーブは適正に測定できているものと判断した.

feedback
Top