マテリアルライフ学会誌
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木質系バイオマスを保持剤として用いたヒバ油添加酢酸酪酸セルロースの抗菌力の持続性評価
勝村 勇太柞山 将輝水上 絵梨香大澤 敏吉村 治
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2021 年 33 巻 2 号 p. 35-41

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抄録

ヒバ油は,天然抗菌剤として利用されているが,揮発性が高く,材料に応用するにはその効果を持続することが重要である.そこで,本研究では,ヒバ油をバイオマス由来の材料で保持し,抗菌力持続性が高く環境負荷の低い材料の作製を目的とした.保持剤として竹粉またはセルロースナノファイバー(CNF),母材として酢酸酪酸セルロース(CAB)を選定し複合化フィルムを作製した.フィルムの抗菌持続性は,定性試験であるハロー法,抗菌力持続性は,シェーク法で定量的に評価した.ハロー法では,保持剤無添加フィルムの抗菌性が14日間であったが,竹粉を8 wt%添加したフィルムでは,35日間抗菌性が確認された.また,シェーク法では,保持剤無添加フィルムの抗菌力は試料作製時(0days)のみ認められたが,親水性CNFおよび疎水性CNF添加フィルムでは,7日間まで十分な抗菌力を示した.これらの結果より,バイオマス由来の保持剤添加により,ヒバ油の抗菌効果を持続できることが明らかになった.

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