マテリアルライフ
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オーステナイト系ステンレス鋼の局部腐食に及ぼす圧延加工の影響
今井 八郎菊地 大輔吉永 康則中山 佳則滝沢 貴久男
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1998 年 10 巻 1 号 p. 35-42

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抄録
オーステナイト系ステンレス鋼のSUS304鋼及びSUS316鋼を用いて, 圧延加工を受けた場合の局部腐食, とくに応力腐食割れ (以下S.C.Cとあらわす.), 孔食及びすきま腐食に及ぼす影響について電気化学的評価を中心に検討した.応力腐食割れ感受性については0.1wt.%NaCl水溶液中で一定電位で一定時間経過後の試験片にあらわれる割れの有無を光学顕微鏡及びSEMで観察することによって評価した.顕微鏡下で割れの観察される電位は, 圧延加工することによって両鋼とも卑になった.また圧延加工により割れが発生するまでの時間は, 短くなった.割れは, すきま腐食を起点として粒界に沿って進展する粒界型であり, いわゆるI.G.S.C.C.を呈した.孔食電位, V'c100及びすきま腐食再不動態化電位, ER, CREVは, 圧延加工により圧延率が大きくなるとともに卑方向に移動した.これら局部腐食に圧延加工が悪影響を及ぼす原因の一つとして加工硬化, 加工誘起マルテンサイトが考えられる.
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