マテリアルライフ
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繰返し衝撃に対する紙の破壊寿命
上薗 勉臼田 誠人門屋 卓
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1990 年 2 巻 1 号 p. 52-58

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抄録
紙に繰返し応力を与えたときの破壊寿命を求める1つの方法として、紙面方向に低エネルギー反復衝撃を加える方法を開発し、製紙原料の相違、抄紙条件、環境条件などを変えた場合の破壊寿命について検討した。
試料の1つとして酸性紙、中性紙を選び、熱処理後の繰返し衝撃試験を行い両者の間に明確な相違が認められた。
すなわち、同一パルプ原料の抄紙条件を種々変えて製造した紙は、パルプの処理条件、湿紙の乾燥条件によって破壊寿命は大きく変化する。また、湿度変化に対しても紙の破壊寿命は敏感に変化する。
同一パルプ原料から製造された市販酸性紙 (pH4.7) 、中性紙 (欧米ではAlkaline paperと呼ばれる) (pH7.4) について80℃、80%R.Hの条件下で処理時間を変えて求めたときの破壊寿命は、それぞれ処理時間とともに低下するが、その程度は酸性紙が中性紙より極めて大きいことが認められた。
紙は組織敏感性の材料であるが、このような繰返し衝撃によって紙の構造がどのように変化するかに関して、光学的比散乱係数の変化を測定することによって検討を試みた。
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