抄録
テレフタル酸ジヒドラジドのN, N'-ジ-n-アルカノイル誘導体 (アルカノイル基の炭素数が2から19までのもの) を合成し, ポリプロピレン (PP) に添加した.それらの「結品核発生作用」をPPの結品化温度により評価し, また, 「銅害防止作用」を銅粉を添加したPPフィルムの脆化時間 (エージングライフ) により評価した.結品化温度と脆化時間をアルカノイル基の炭素数に対してプロットしたところ, 両者のいずれのプロットにも複数の極大ピークが存在すること, また, 極大値の位置が両プロットで一致することがわかった.これらの結果はジアシルヒドラジン類が銅の酸化触媒作用を不活性化するだけでなく, PPの結晶化を促進することによってもPPの酸化安定性を増加していることを示唆している.