抄録
耐トラッキング性の優れた電気絶縁用エポキシ樹脂の, シンチレーション放電における耐エロージョン性の向上を目的として, 同樹脂とシリカ粉末フィラー間の界面特性に着目し, 3種類の考え方に基づいてフィラー表面改質処理を行った.そして各処理粉末の疎水化度, 混合樹脂の流動性, 成形体の機械的特性および成形体の耐エロージョン性について比較評価した.この結果, ブイラーの疎水花による樹脂との濡れ性向上と, これらの界面への吸湿防止を意図した表面改質処理 (メチル系シラン処理) の場合は, 耐エロージョン性向上の効果は見出せなかった.しかし疎水化とともに改質層と樹脂の分子の絡み合いによる結合力の向上を意図した表面改質処理 (チタネート系処理) およびフィラーと樹脂の共有結合化を意図した表質改質処理 (エポキシ系シラン処理) において, 耐エロージョン性が向上することを確認した.