生分解性ポリカプロラクトン (PCL) による排水中の窒素の生物学的除去を検討し, 次の結果を得た.排水中の窒素はPCLにより効果的に除去され, 10週間後全窒素量の約70%以上が除去された.PCLは浸漬時間と共に分解し, 10週間後の重量減少率は約44%であった.PCLの厚さは0.5mmから約0.2mmに低下したが, 形状は保たれていた.反応中, 試料表面に微生物膜が徐々に生育し厚くなり, 約1mm厚でほぼ飽和した.排水中の全有機系炭素 (TOC) は平均2.9から5.9 (mg/
l), 全無機系炭素 (IC) は7.4から32.4 (mg/
l) に増加した.その他, pHと懸濁物質 (SS) の僅かの増加およびアンモニア性窒素と亜硝酸性窒素の生成がごく僅かに認められた.分子量の測定および分光分析から, PCLの微生物による分解は試料の表面から起こることが示唆された.
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