抄録
各種フェノール樹脂 (硬化樹脂およびノボラック樹脂) とビスフェノール類をテトラリン中での液相熱分解条件で分解することにより化学構造と分解の難易の関係を比較検討した.フェノール樹脂の部分構造にあるオルト位のメチレン鎖がパラ位のメチレン鎖に比べ開裂が容易であり, また, パラ位にメチレン鎖の代わりに三級四級炭素からなる原子団があれば開裂が比較的容易であるという実験事実から, 分解容易なフェノール樹脂として, ビスフェノールAを原料としたフェノール樹脂を合成した.この樹脂が汎用フェノール樹脂であるフェノールーホルムアルデヒドノボラック硬化物に比べ分解が容易でモノマーへの分解回収に適していること, 汎用樹脂と同様な物性を有していることを明らかにした.