2025 年 36 巻 1 号 p. 18-25
痛みは,生体の警告系として重要な役割を果たす。しかし生体の警告系の役割を果たさず,長引く痛みが「慢性疼痛」である。慢性疼痛は,「治療に要すると期待される時間の枠を超えて持続する痛み,あるいは進行性の非がん性疼痛に基づく痛み」(IASP)と定義されている。慢性疼痛の病態には疼痛感作(末梢感作および中枢感作)が関与しており,その機序として繰り返しの刺激で変化する神経の可塑が生じている。そして疼痛によるネガティブな思考や認知が,不安,恐怖心を助長し,活動を制限し活動性の低下を招き,さらなる痛みの誘発といった悪循環を形成している。持続する痛みは心理社会的な問題にも関連している。今回は,慢性疼痛(定義,痛みの分類)について,2021 年に日本語で命名された「痛覚変調性疼痛」について説明する。