抄録
大気汚染の短時間内濃度の再現あるいは予測計算のため、時間・空間的に変動する風と拡散パラメータが別途与えられると仮定して、ノンリニヤーの拡散方程式を差分法で解く手法を開発した。差分解法に伴う計算不安定やノイズは、各種の差分を試みた結果から水平移流項にLax-Wendroff法、鉛直移流項に後方差分、水平拡散項に前方差分、鉛直拡散項にClank-Nicolson法を採用することで対処した。同時に時間・空間ステップに対する制約条件も明らかにされた。
差分モデルの検証は、空間内の風と拡散係数を一様として求めた拡散方程式の解析解と、同じ条件に対する差分解の比較によってなされた。解析解として、無風および微風時にはパフモデル、有風時にはプリュームモデルが使われた。各安定度カテゴリーでの検証結果は、微風時の限られた時間に差分解の濃度パターンがやや幅広くなりすぎた例を除いて、ほとんど実用に耐える精度が示された。
有風時に風下境界で計算ノイズの波動が発生し、風上に波及する現象がおこったが、風下境界条件を∂c/∂x≈0になるように調整することで消去できた。