Papers in Meteorology and Geophysics
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原著論文
小規模実験によるパフの大気拡散
佐藤 純次木村 富士男吉川 友章
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1981 年 32 巻 3 号 p. 155-162

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抄録
 物質の大気中における拡散を詳細には握するために、応答速度の速いNOxガスをエア・トレーサーとして地上1.5mからの瞬間点源および連続点源の小規模大気拡散実験を風下数10mの短距離で行なった。ここではその実験方法を記述し、また得られたデータの解析結果からパフの風下方向の拡散について論議する。
 種々の濃度分布の形を持ったパフが観測されたが、特に注目されるのは、後方に濃度の尾を引いた形のパフが数例におよんで観測されたことである。一方、風の鉛直シャーがあるにもかかわらず尾を引かないパフも観測されており、数10mの風下距離では拡散過程の初期段階であり、パフのサイズが比較的小さいところからみて、このパフの濃度の尾は風の鉛直シャーに起因するのではなく、乱流構造の特性によるものと推察される。
 風下方向の拡散幅、σxは平均風速から誘導した輸送時間、Tによって表現され
σx(t)∝T1.1
が得られた。
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© 1981 気象庁気象研究所
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