Papers in Meteorology and Geophysics
Online ISSN : 1880-6643
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原著論文
日本の主要河川中のプルトニウム含量
広瀬 勝己杉村 行勇
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1981 年 32 巻 4 号 p. 301-305

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抄録
 核実験により生成し放射性フォールアウトとして、広く地上にまきちらされた239Puが、地上に長くとどまるか、あるいは、河川水により容易に溶脱されて海へはこばれるかを明らかにすることは、きわめて重要なことである。
 1978年10月から1980年2月にかけ全国主要10河川の河川水の採水を行ない、溶存および粒子状に分けて、夫々のプルトニウム含量を測定した。河川水の流量を考慮し加重平均を行なった結果、全プルトニウム含量は0.37fCi/l、そのうち27%が粒子状として懸濁物中に存在することがわかった。我々の研究室の研究結果から、地上の全蓄積量を1.2mCi/km2として計算すると、溶脱されるプルトニウムは、年間全体の0.03%にすぎず、したがって、プルトニウムは一旦地上に降下すると長く地上にとどまり人類にひきつづいて影響を与えることが明らかになった。
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© 1981 気象庁気象研究所
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