Papers in Meteorology and Geophysics
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原著論文
静止衛星による雲頂高度立体観測
高島 勉高山 陽三松浦 和夫内藤 恵吉
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1982 年 33 巻 2 号 p. 65-78

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抄録
 2つの静止衛星 (GMS-1およびGMS-2) による雲頂高度立体観測の可能性について検討した。GMS-1は赤道上東経140°に位置し、GMS-2はGMS-1と交換する間赤道上東経160°に位置している。雲頂高度観測は可視赤外2チャンネルで1981年9月17日に行われ、GMS-1では23:32 GMT、GMS-2では23:36 GMTで観測開始時刻はGMS-2の方が4分遅いが、衛星の姿勢とスピンレートが異なるため、観測対象とした雲の観測域での時間のずれは1分以内となった。
 なおこれらの観測は気象庁気象衛星センターの努力によって完逐された。
 二色刷の雲立体写真の質を高めるため、すべての画素を緯度―経度座標系に移し変え、画像のゆがみを除去した。計算による雲頂高度推定には、地球を回転楕円体と仮定して求めた。解析から、相対誤差200mの精度で雲頂高度を求められる事がわかったが、絶対高度測定精度向上のためには、雲の近傍に位置決定のための指標 (地形) が数多くあり、又正確な衛星の軌道要素も必要とする。精度の高い雲頂高度は赤外窓領域を用いる方法では求められなかった。これは雲のemissivityや垂直温度分布が不明であるためである。
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© 1982 気象庁気象研究所
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