抄録
1979年のSummer MONEX期間中に、西太平洋熱帯海洋上に発生した熱帯スコールラインの構造を、レーダー、衛星、ゾンデデータを使って解析した。解析結果は他の地域で観測された熱帯スコールラインと比較された。
このスコールラインは積雲スケールの対流と、組織化された対流が複合された内部構造を持ち、anvil雲がleading edgeから後方へ約200kmまで延びていた。この組織化された対流の存在がこのスコールラインの特徴であった。線状のleading edgeは周囲の風速より大きい速度で伝播した。leading edgeのある部分は成長して組織化された対流となり大きさと強度を数時間にわたって維持した。
このスコールラインは、対流圏下層について見れば、南西monsoonと貿易風東風の境界域に発生した。スコールラインが発生する直前には、対流圏中下層にかなり強い正渦度が、400mbより上では強い発散が、またそれより下層では収束があった。ゾンデデータはスコールラインの通過に伴う大気の転倒を示していた。スコールライン前方の対流圏下層に存在したmoist static energyが、スコールライン形成のエネルギー源であったと考えられる。
他の地域で観測された熱帯スコールラインと比較して共通点が多かった。組織化された対流の存在のため、このスコールラインの雲構造は3次元性の強いものだった。