日本消化器内視鏡学会雑誌
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手技の解説
経口胆道鏡の適応と観察のポイント(動画付き)
潟沼 朗生 矢根 圭金 俊文高橋 邦幸林 毅真口 宏介
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電子付録

2018 年 60 巻 6 号 p. 1230-1239

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抄録

経口胆道鏡には,十二指腸内視鏡を用いて,胆道鏡を胆管内に挿入する親子式胆道鏡と,細径の内視鏡を直接胆管内に挿入する直接胆道鏡がある.さらに親子式には2名以上の術者で操作する手技に加え,単独の術者で操作可能なSingle operator cholangioscopy(SOC)が開発され,その有用性が注目されている.経口胆道鏡の主な適応は,①胆管狭窄の良悪性鑑別診断,②胆管癌の表層進展度診断,③直視下生検,である.これに加え,通常の結石除去が困難な胆管結石(肝内結石を含む)に対し胆道鏡下の水中衝撃波(EHL)やlaserによる結石治療に用いられている.胆道鏡による悪性を疑う所見は,不整に拡張・蛇行した血管の存在,不整な乳頭状腫瘍の存在,粘膜下腫瘍様の結節隆起,易出血性の粘膜,があげられる.これに対し,良性を疑う所見は,規則正しい配列の細血管を有する平坦な粘膜,丈の低い均一な顆粒粘膜,粘膜不整のない表面の凹凸変化,などである.しかしながら,胆道鏡の内視鏡所見による診断基準はいまだに確立されていない.また,胆管は炎症性変化や留置したチューブやステントによる修飾を受けやすく,胆管生検や他の画像診断による総合的な判定が不可欠である.

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© 2018 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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