Papers in Meteorology and Geophysics
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原著論文
活火山における光波測量の精度と有意測線の検出
田中 康裕中禮 正明澤田 可洋柴田 武男
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1982 年 33 巻 3 号 p. 175-185

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抄録
 地殻変動と火山活動との関係を研究するため、AGAジオジメーター6BLを用いて、日本の主要活火山—浅間山、伊豆大島、阿蘇山、桜島—において光波測量を実施した。これらの火山では有史以来、ひんぱんに噴火や火山性地震が発生している。測線は浅間山に6本、伊豆大島に7本、阿蘇山に8本、桜島に9本設け、1975~1976年又は1977~1978年の間は3~4ヶ月に1回ずつ測量した。全測線の2年間における測量回数は184回に達した。なお、浅間山及び阿蘇山については1979年以降も1982年まで、1年に1回程度の割合で測量を続けた。1回の測量時には約10回の測定を繰り返し、その平均値を以てその回の測量値とした。
 測量の誤差は観測誤差 E と常態誤差 e とが重なったものである。E は観測値の標準偏差であり、e は測量装置の器械的原因による誤差、測量時の天候条件による誤差などである。Ee とを合わせて総合誤差と呼ぶことにする。
 1975~1978年の全測量値を統計した結果、最も条件の悪い状態で測量した場合の総合誤差 Smaxと、平均的な状態で測量した場合の総合誤差 Smean は、測線距離 D に対して
Smax=Emax+e=3.5D-1+(1mm+D×10-6)/D
Smean=Emean+e=3.3D-1+(1mm+D×10-6)/D
となった。これらの式は光波測量の精度を検討するのに利用できるものと考えられる。
 総合誤差は大部分の測線で10-6のオーダーで求められたが、各火山の測線の2ヶ年間における歪変化量はいずれも10-5のオーダーに達していた。火山以外の地域では2ヶ年間にわずか10-6~10-7程度の歪変化量を観測するのが普通なので、火山における歪量は非常に大きいことがわかる。
 2ヶ年間の歪変化量が最大総合誤差の2倍を上まわった測線を有意測線と呼ぶことにしてそれらの位置を調べた。有意測線には、浅間山の南南東及び北東山ろくの測線、伊豆大島の三原山及び山ろくの測線、阿蘇山の中岳火口付近と火口を横切る測線、桜島の北西~西山ろく及び南山ろくの測線をあげることができる。桜島西山ろくの測線は大正大噴火の構造弱線を横切る位置にある。
 有意測線の歪変化は噴火活動や地震活動などとよい対応を持つものが多く、活動が活発化すると測線が伸び、不活発になると縮む傾向を示した。これらの現象から、火山下の圧力源と火山活動との間には次のようなモデルが考えられる。すなわち、火山活動が活発になると、火山の地下のマグマ溜りや火道から上方ないし外方へ向う圧力が増大して、火口や構造弱線付近の地表を押し広げる。逆に、火山活動が不活発になると圧力が低下して地表を縮める。
 浅間山、伊豆大島、阿蘇山、桜島程度の活動的な活火山で、火山活動現象と測量値の変化とを対応させるためには、3ヶ月に1回以上の光波測量が必要である。
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© 1982 気象庁気象研究所
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