抄録
ライダーの基本的な問題の1つとしてレーザー送信部と受信望遠鏡との光軸合わせがある。ここでは、光軸合わせに便利なライダー後方散乱信号を、よく使用されているルビーレーザー、ヤグレーザーのそれぞれの基本波、高調波に対し、エーロゾル・オゾンを含めた大気モデルを用いて計算している。
次に光軸合わせにミスアライメントがあった場合、後方散乱信号はどうなるか、また成層圏エーロゾル観測にどのような影響を及ぼすかを調べている。ライダーのレーザー送信部と受信望遠鏡の光軸が完全なアライメントから、互いに外向きにはずれた場合は、高度10~30km間で、上向きに大きくなるような見かけ上の後方散乱比RB′が、例えエーロゾルが存在しなくとも現れ、互いに光軸が交差した時には下向きに大きくなるようなRB′が観測されることになる。このような場合のRB′を補正する1方法について述べているが、言うまでもなく、このようなミスアライメントが起こらないようにライダーシステム設計することが重要である。