抄録
レーザー・レーダーによる大気の後方散乱関数および減衰係数を求める一方法を提出した。従来大気の後方散乱関数をレーザー・エコーより求めるのに,光の通過路程の透過関数を仮定して求めているが,これはかなりの誤差を伴う。一方後方散乱関数が分っていても,減衰係数はこれから一義的に求め難い事が論じられている。
この論文では大気の後方散乱係数をレーザー・エコーより求めるのに通過路程の透過関数についてなにも仮定せずに大気が水平に成層していることのみを仮定して二方向のエコーの測定より大気の後方散乱関数を求め,又この散乱関数を用いてレーザー・レーダー方程式より導かれる微分方程式を数値的に解くことにより減衰係数が一義的に求められることを示した。