抄録
1968年,1969年の梅雨期について西日本上空における運動量の収支解析を行った、解析結果を,対象領域の平均12時間降水量が5mmより多い場合(Case MH)と少ない場合(Case NL)に分け,各々の平均状態を比較検討した.熱収支解析からは,対流活動はCase MHでは対流圏全層で盛んであるが, Case NLでは対流圏下層に限定されることが示される.
運動方程式の残差項の評価-特に風に垂直な成分について 系統的な誤差が見出されるけれども,Case MHとCase NLとの比較から, Case MHにおいては西風成分の運動量の対流輸送は下向きで,対流圏中層で最大2~4dyn/cm2,南風成分の下向き輸送は2dyn/cm2を越えないと推定される.
1000-100mb層の運動エネルギー全消散量は, Case MHでは約20 w/m2と評価されて, Case NLより1オーダー大きい.全消散量が大きいにも拘らず,Case MHの800-600 mb層では消散率は低い.このことから,大規模からsbgrid規模の運動へのエネルギーの流れ-特に対流圏上層において-があり,また対流運動量輸送を通じて上層から下層へのエネルギー移送があることを示していると考えられる.運動量,熱運動エネルギー収支から示される大規模およびsubgrid規模の運動の相互作用が, Case MHとCase NLにおける観測された風の鉛直分布の差に反映している.