抄録
アルコール発酵能を有する担子菌マスタケの生成するフレーバー成分について研究を行った.基本培地は2%モルト液体培地を用いた.マスタケの菌糸体を培養すると,桃に似たフレーバーが生成された.香気成分を培養液液から水蒸気蒸留法,有機溶媒抽出法により抽出し,それらの香気成分をガスクロマトグラフおよびガスクロマトグラフ質量分析計で分析した.その結果,マスタケの菌糸体培養によって新たに生成するマスタケ由来の香気成分として,20成分を同定した.4つの主要成分はγ-decalactone,γ-octalactone,未同定物質B(m/z:41, 55, 111, 132)およびγ-dodecen-6-lactoneで,それぞれの含量は46.33%,7.58%,4.08%および1.98%であった.