日本きのこ学会誌
Online ISSN : 2432-7069
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最新号
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  • 陳 富嘉, 陳 富杰, 早乙女 梢, 霜村 典宏, 山口 武視, 會見 忠則
    2020 年 28 巻 3 号 p. 93-99
    発行日: 2020年
    公開日: 2022/03/21
    ジャーナル オープンアクセス
    複数の系統群を含むことが知られるサクレヒトヨタケには四極性と二極性の交配型が報告されていたため,日本産のササクレヒトヨタケ Coprinus comatus の交配型を再検討することが必要となった.ITS領域による分子系統解析の結果,本きのこ種には3つの系統群が検出され,日本産本きのこ種はこのうちの1系統群に含まれた.子実体から単胞子分離したー核菌糸体は二極性ヘテロタリズムを示した.また,A因子の組み換え株は出現せず,A因子は1極めて近接した2つの遺伝子座により構成されると推察された.一方,本きのこのクランプ形成頻度は,ヘテロカリオンで30%以上,ホモカリオンで8%以下であったが,ホモカリオンのクランプ形成能は交配型遺伝子とは,連鎖していないことが,示唆された.
  • 飯田 亮平, 谷口 彰吾, 濱治 百々子, 高椋 美紀, 石田 絵利子, Ayesha SIDDIQA, 阿座上 弘行
    2020 年 28 巻 3 号 p. 100-106
    発行日: 2020年
    公開日: 2022/03/21
    ジャーナル オープンアクセス
     Hericium erinaceum(ヤマブシタケ)は食用キノコの一種で,神経保護や抗炎症性,抗酸化性特性など様々な薬理作用を示すことが報告されてきた.我々は,ヤマブシタケの水抽出物が歯周病原性細菌Eikenella corrodensのバイオフィルム形成を阻害することを発見した.しかし,メタノール抽出物からは抑制効果は見られなかった.ヤマブシタケのバイオフィルム阻害効果は用量依存的に見られ,それはE. corrodensに対する殺菌作用によるものではなかった.ヤマブシタケの抽出物を硫安沈殿により分画したところ,70%画分から阻害活性が見られた.この画分を熱処理したところ,バイオフィルムの阻害は完全にはなくならなかった.これらのことから,部分的に熱に安定なタンパク質性の成分がバイオフィルムの阻害に関与することが示唆された.さらに,この画分を限外ろ過によって分画を行った.その結果,分子量が60-100 kDa 程度のタンパク質がE. corrodensのバイオフィルムを阻害することが示唆された.さらに,ヤマブシタケの抽出物が一旦形成されたバイオフィルムを分解する能力があることも示唆された.
  • 福井 陸夫, 大橋 洋二, 杉本 恵里子, 石川 洋一, 今井 芳典
    2020 年 28 巻 3 号 p. 107-116
    発行日: 2020年
    公開日: 2022/03/21
    ジャーナル オープンアクセス
    放射性物質汚染地域のシイタケ原木栽培におけるナノ粒子不溶性プルシアンブルー(NPB)分散液の効果を明らかにした.放射性Cs汚染原木をNPB分散液に浸漬したところ,発生した子実体は,無処理区子実体の放射性Cs濃度と比較して明らかに減少した.250 Bq/kg程度の原木ではNPB分散液に浸漬することにより,発生する子実体の放射性Cs濃度は40 Bq/kg以下になることが期待される.第2の試験では、放射性物質汚染ほだ場(空間線量率0.19 mSv/h)にセシウムソーブフィルター(CSF)を敷設し,放射性Cs無汚染のほだ木を伏せこんだ試験では,15 - 18ヶ月後のCSF敷設区の子実体中の放射性Cs濃度 (4.0 ± 1.8 Bq/kg) は対照区 (7.8 ± 4.0 Bq/kg) と比較し放射性Csの吸収を抑制する効果が認められた.さらに,敷設したCSFは土壌中の放射性Csを特異的に吸着する(土壌 (0 - 5cm):764 Bq/kg, CSF: 4,735 Bq/kg ) ことが明らかとなった.今回の知見は今後のシイタケ栽培に寄与するものと考える.
  • 福田 泰久, 平山 朋美, 白坂 憲章
    2020 年 28 巻 3 号 p. 117-122
    発行日: 2020年
    公開日: 2022/03/21
    ジャーナル オープンアクセス
    きのこの子実体発生研究において,菌株の選抜は非常に重要である.トキイロヒラタケは,子実体形成期への移行がピンク色発色により容易に肉眼で確認できるため,子実体形成メカニズム研究に適したきのこである.本きのこは,菌糸および子実体の形態観察,和合性試験により,ヘテロタリックな生活環をもつ四極性であることが明らかとなった.二核菌糸を用いた場合,ゲノムデータベース構築や,遺伝子挿入および破壊実験が複雑化する.単核菌糸を用いることが有用であるという考えのもと,単核体で子実体形成株と非形成株の分離を目的に,トキイロヒラタケNBRC3185株を親株とした単胞子分離を行なった.単胞子分離株の形態とその生育速度を比較したところ,様々な表現形を示した.PDA培地と,木材を基礎とした固体培地上で類似した生育を示し,かつ,子実体非形成(N81株),子実体形成(N13株)という表現型を示す菌株を取得した.
  • 田中 裕基, 平間 加那子, 鈴木 智大, 羽生 直人, 金野 尚武
    2020 年 28 巻 3 号 p. 123-128
    発行日: 2020年
    公開日: 2022/03/21
    ジャーナル オープンアクセス
    白色腐朽菌シイタケからGHファミリー28に属するポリガラクツロナーゼLePG28Aを精製し,その特性を解析した.LePG28Aはポリガラクツロン酸をエンド型に分解した.木材中のペクチンはカルシウムによる架橋構造でゲル化している.そこで,ポリガラクツロン酸Caゲルに対する酵素活性を評価したところ,酢酸緩衝液中では分解しなかったが,シュウ酸緩衝液中ではポリガラクツロン酸Caゲルを分解することができた.LePG28AはpH 4.0,70℃の条件下で最も高い活性を示した.温度安定性について,pH条件を変えながら評価したところ,中性条件下よりも酸性条件下での温度安定性が高いことが明らかになった.よって,LePG28Aはシュウ酸と協調的に働くことで木材中のペクチンを分解している可能性が示唆された.
  • 田淵 諒子, 寺島 和寿, 時本 景亮, 福島(作野) えみ
    2020 年 28 巻 3 号 p. 129-133
    発行日: 2020年
    公開日: 2022/03/21
    ジャーナル オープンアクセス
    トレハロースは,非還元性の二糖で,きのこ類に最も多く含まれる糖の一つである.供試した5菌株の原木栽培シイタケについて50℃一定で温風乾燥させたものは生シイタケに比べトレハロース含量が増加した.一方,グルコース含量に有意な差は認められなかった.50℃一定で,乾燥時間の経過に伴うシイタケの重量の変化を調べると,乾燥開始6時間まで水分の蒸発により重量は直線的に減少し,生シイタケの12%程度となり,その後は一定であった.一方,トレハロース含量は,乾燥開始2 時間後まで直線的に増加し,その後は48 時間まで緩やかに増加を続けた.乾燥温度を40℃,50℃,60℃一定として,乾燥後シイタケのトレハロース含量を比較した結果,トレハロース含量は40℃乾燥のものが最も多く,60℃乾燥のものが少なかった.
  • 清水 博幸, 平栗 健史, 木許 雅則, 大田 健紘, 進藤 卓也, 星野 祐希
    2020 年 28 巻 3 号 p. 134-139
    発行日: 2020年
    公開日: 2022/03/21
    ジャーナル オープンアクセス
    Since ancient times, the anomalous occurrence of mushrooms around lightning strikes has been confirmed. Based on this phenomenon, various shiitake mushroom cultivation methods with lightning strikes using cultivation bed logs (wood) have been proposed. One remarkable related work reported that the fruiting capacity of shiitake mushrooms was significantly promoted by directly applying a high voltage to the cultivation bed log1). However, mushroom bed logs are rarely struck by lightning directly in the natural environment. Therefore, this method does not match the conditions in the natural environment. We performed lightning strike experiments using a new method that considers the natural environment. This new method delivers a thunderbolt to a lightning rod using the electric discharge created by an impulse voltage generator, but it does not apply lightening directly to the cultivation bed log. The cultivation bed logs are placed a few meters away from the lightning rod in order to replicate the natural environment. In this experiment, we compared the fruiting capacity of shiitake mushrooms with and without simulated lightning strikes. From the experimental results, in the case of simulated lightning strikes, twice the number of shiitake fruiting bodies was harvested compared with the case without simulated lightning strikes. Moreover, this result clearly specifies that even though a high voltage was not applied directly, increased production of shiitake mushrooms by lightning strikes was confirmed.
  • 下川 知子, 平出 政和, 渡辺 純, 石川(高野) 祐子
    2020 年 28 巻 3 号 p. 140-143
    発行日: 2020年
    公開日: 2022/03/21
    ジャーナル オープンアクセス
    代表的な食用きのこ10品種の親水性抗酸化能について,他の食材と比較可能な妥当性が確認されたH-ORAC法による測定を行った.産地や栽培箇所を異にした複数検体を用い,きのこが調理してから食されることから,生及び茹でた後の検体が有するH-ORAC値を比較した.測定した中では生,茹で調理ともにツクリタケの値が最も高く,次がヒラタケ,エノキタケ,マツタケとなった.そのほか,ブナシメジ,シイタケ,マイタケ,エリンギ,ナメコ,アラゲキクラゲの活性を測定した.茹で処理したサンプルのH-ORAC値の平均減少率は11.1%であり,最も減少率が低かったエノキタケのサンプルでも31.7%にとどまったことから,調理後においても十分な親水性抗酸化能を有することが明らかになった.
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