日本きのこ学会誌
Online ISSN : 2432-7069
Print ISSN : 1348-7388
最新号
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  • 利重 大地, 尾崎 佑磨, 早乙女 梢, 霜村 典宏, 會見 忠則, 辻 渉
    2025 年33 巻01 号 p. 10-15
    発行日: 2025/04/30
    公開日: 2026/04/30
    ジャーナル フリー
    アミスギタケ Polyporus arculariusの子実体発生を分子遺伝学的に解析するツールを開発するため,単核性ホモカリオンを単離し,ソバ殻培地で栽培した後,その生活環を走査型電子顕微鏡と蛍光顕微鏡観察により調べた.ヘテロカリオンTUFC14290の子実体から誘導されたホモカリオンTUFC14290-1は単核性子実体を効率よく形成した.TUFC14290-1株では子実体の担子器に担子胞子と小柄が観察され,担子器上の小柄の数は,ほぼ2個であった.ホモカリオンTUFC14290-1の子実体は一つの核を含む担子胞子を形成し,発芽によりモノカリオンを生じた.以上の結果から,ホモカリオンTUFC14290-1は,木材腐朽菌である多孔菌類において単核性の生活環を示すことができる有用な菌株であることが明らかとなった.今後,本菌株を用いたアミスギタケの子実体形成の分子機構の解明が期待できる.
  • 齋藤 すずな, 田中 陽子, 川田 久美子, 米村 善栄, 小林 哲也, 石原 亨, 大﨑 久美子
    2025 年33 巻01 号 p. 16-25
    発行日: 2025/04/30
    公開日: 2026/04/30
    ジャーナル フリー
    菌床栽培によるきのこ生産では使用済み菌床(廃菌床)が大量に排出され,廃菌床の廃棄方法や費用が生産者の課題となっている.本研究では土壌還元消毒(RSD)の有機資材として廃菌床を利用することを検討した.エノキタケ,シイタケ,ブナシメジ廃菌床を用いたRSDは有効な土壌還元を示した.エノキタケ廃菌床を使用したRSDでは,RSDに利用される代表的な有機物の小麦フスマを用いた場合と比べ,発生する悪臭が軽減された.廃菌床を用いたRSDにより汚染土中の青枯病細菌,つる割病菌や萎凋病菌の菌密度が有意に低下した.汚染圃場で廃菌床を用いたRSDにより,トマト自根苗における青枯病の発病が遅延し,接木苗では発病が抑制された.さらに,RSD処理土壌で栽培したホウレンソウ苗では萎凋病の発病を有意に抑制した.本研究では廃菌床はRSDの有望な有機資材であり,廃菌床を用いたRSDは土壌病害を効果的に防除できることを示した.
  • THAMPRAPHAPHON Bancha, HERMAWAN Rudy, 劉 姵筑, 會見 忠則, 霜村 典宏
    2025 年33 巻01 号 p. 26-34
    発行日: 2025/04/30
    公開日: 2026/04/30
    ジャーナル フリー
    きのこ菌糸体から分離できる菌糸細菌は,きのこ菌糸体の生育に影響を与えることが知られている.本研究では,菌糸細菌の多様性と本細菌の宿主及び非宿主のきのこ菌糸体の生育に及ぼす影響について調査した.同一きのこ菌糸体から分離した菌糸細菌間では阻害作用は認められなかった.しかし,宿主が異なる細菌間では阻害作用が認められる場合もあった.Bacillus細菌は本細菌の宿主とPenibacillus細菌やStaphyroccocuss細菌の宿主きのこの菌糸体の生育を促進した.Staphyroccocuss細菌は本細菌の宿主きのこの菌糸体とPenibacillus細菌の宿主きのこの菌糸体の生育を阻害した.また,Penibacillus細菌は宿主と非宿主きのこ菌株の生育には影響を示さなかった.以上の結果から,菌糸細菌には多様性があり,菌糸体の生育に及ぼす菌糸細菌の効果は細菌の属に依存していることが示唆された.
  • 早乙女 梢, 上林 萌恵
    2025 年33 巻01 号 p. 35-43
    発行日: 2025/04/30
    公開日: 2026/04/30
    ジャーナル フリー
    担子菌門タマチョレイタケ目に属する白色腐朽性きのこ株5属10種18菌株を供試し,木材腐朽試験,木材組織の観察,およびリグニン分解酵素活性を調査した.60日の培養期間における木材腐朽試験の結果,ブナ試験片に対する質量減少率は0.3%~41.7%で,スダジイ試験片では1.4%~15.4%であった. 120日の培養期間になるとブナ試験片に対する質量減少率は2.5%から94.0%,スダジイ試験片では2.1%~34.3%となった.本試験の結果,白色腐朽性きのこ類は,自然環境下で嗜好性を示す樹種の材に対して,より高い腐朽力があるわけではなく,さらに,同一菌種や同属であっても,木材腐朽力や腐朽速度は菌株により異なることが示された. リグニン分解酵素活性測定の結果,LacおよびMnPともに,酵素活性値や酵素活性の推移は菌株によって様々であった.一方で,経時的に計測したリグニン分解酵素活性の累積値に着目すると,シロアミタケ属種の菌株のLac活性累積値は,他属の菌株に比べて高い傾向があることが示された.
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