2015 年 23 巻 2 号 p. 85-88
きのこ栽培における胞子によるアレルギーの問題を解決するため,タモギタケの無胞子性変異形質を材料にSTSマーカーを開発した.AFLP解析によって無胞子性変異形質と8個のマーカーが座乗する連鎖群を同定した.しかし,それら8個のマーカーは全て野生型を由来とするマーカーであったため,無胞子性変異型を由来とするマーカーを得るためにBSA-AFLP解析をさらに行い,3個のマーカーを得た.これらについてSTS化した結果,2個のマーカー(AAAA145,AATA275)は分離集団を用いた増幅において予想される胞子形成の表現型と一致する増幅を示した.無胞子性栽培品種の育種におけるこれらのマーカーの実用性を異なる地域を由来とする11菌株を用いて評価したところ,AAAA145を由来とするSD145はマーカーアシスト選抜において有効なマーカーであることが示された.