2018 年 25 巻 1 号 p. 23-26
近年の輸入食品のリスクの顕在化は食の安全に対する消費者の意識向上につながった.その結果,きのこを取り扱う小売業や外食産業では国内産志向の進展だけでなく,菌床の原材料の産地を含めた生産情報についても開示する傾向にある.エリンギは優秀な食用きのこであるが,栽培に用いる菌床は国外で栽培された原材料に依存している.そこで栄養材として頻繁に用いられる外国産小麦由来フスマの代替となりうる国内産小麦由来栄養材について小麦の精製工程および国内の流通状況を調査した.結果として価格面・供給面で有用な国内産規格外小麦全粒粉をフスマの代替として見出した.エリンギ栽培にこれを用いたところ,フスマを用いた場合と比較して主に有効茎数の増加に伴う増収効果が認められた.