日本きのこ学会誌
Online ISSN : 2432-7069
Print ISSN : 1348-7388
きのこの害菌問題に関する研究を通じて
-害菌対策の注意点と地球温暖化のきのこ栽培への影響について-
宮崎 和弘
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ジャーナル オープンアクセス

2018 年 26 巻 1 号 p. 10-17

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抄録
きのこの栽培を行う上で絶えず意識しておく必要があるのが害菌問題である.害菌対策を考える上では,発生している害菌が「何」であるのか,どんな特徴を持つのかを把握することが重要である.そこで,本稿でははじめに主要な害菌の特徴を紹介する.また,その害菌に対する対策の提案を行う.次に,近年進行中の地球温暖化の害菌被害への影響に関する試験結果を紹介する.主な試験結果として,1)シイタケ菌糸は高温条件下(33℃)でTrichoderma harzianumの侵害を受けやすくなること,2)最高気温が30℃を超える日数が多い地域で,T. harzianumのシイタケほだ木からの分離率が高くなること,3) Hypocrea lacteaは空気感染により被害を拡大していること,4)食酢にはH. lacteaに対する防除効果があること,が分かった.
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2018 日本きのこ学会
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