日本菌学会大会講演要旨集
日本菌学会第53回大会
セッションID: B19
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SSUおよびLSU rDNA塩基配列の分子系統解析に基づく細胞性粘菌Polysphondylium pallidumP. album群の形態進化
*川上 新一橋本 哲男
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抄録
本研究では,細胞性粘菌Polysphondylium pallidumP. album群の形態進化をSSUおよびLSU rDNAの分子系統解析に基づいて考察した.演者らは先行研究で,本系統群に属するP. pallidumおよびその種と長く混同されていたP. albumを再定義し(日本菌学会45回大会;Kawakami and Hagiwara 2008a),且つ8つの新規形態種を見出した(同学会46,47,48,51,および52回大会; Kawakami and Hagiwara 2008b).さらに,本種群の既知種15種および8新規形態種を用いて,LSU rDNA D1/D2領域の部分塩基配列の分子系統解析を行い,各種が単系統群を形成することを明らかにした(同学会53回大会).本研究で演者らは,P. pallidumP. album群から選抜された12既知種と4新規形態種に属する代表株16株と外群2種に属する2株のSSUおよびLSU rDNA全塩基配列を用いた系統解析を行った.両rDNAを連結し,Separate modelで解析すると,Schaapら(2006)の系統樹よりも解像度の高い系統樹が得られた.この結果とLSU rDNA D1/D2領域の系統解析の結果を踏まえて,以下のように考察した.1)パターンの限られた形態進化の過程で,原則的に形態の複雑化が生じている(一部において,二次的に単純化も起こっている)2)輪生枝指数および節数の増加,先端セグメントが極端に長くなる現象が本系統群内の別々のクレイドで認められたことから,これらの現象は本種群内で平行進化によってもたらされたものと考えられる. Kawakami and Hagiwara (2008a) Mycologia 100: 111–121; Kawakami and Hagiwara (2008b) Mycologia 100: 347–351; Schaap et al. (2006) Science 314: 661–663.
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© 2009 日本菌学会
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