日本菌学会大会講演要旨集
日本菌学会第53回大会
セッションID: B31
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不完全菌Calcarisporiella属菌の系統的位置について
*徳増 征二広瀬 大稲葉 重樹小川 吉夫
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抄録
Evans(1971)は鉄鋼所の廃土の表面温度の高い箇所から高温性の不完全菌を分離し、その形態と温度特性からCalcarisporium thermophilaとして新種記載した。de Hoog (1974)はこの種が形態的にSporothrix属にも似ているが、菌糸や分生子柄、分生子形成細胞などの特徴から新属Calcarisporiellaを設立し、新組み合わせCalcarisporiella thermophila (Evans) de Hoogを提案した。本邦ではIFOの伊藤忠義氏により奄美大島、西表島の土壌から分離され計3株がNBRCに保存されている。徳増は長野県菅平高原のススキ草原の深さ1mの土壌からCalcarisporiella thermophilaと類似する菌を分離し、形態、培養適温などの検討を行った。その結果、菅平株の形態的はC. thermophilaとよく一致したが、中温度性であるとことが明らかになった。この過程で幅広で匍匐するように波状にうねるもろい菌糸、分生子形成細胞の形状、分生子形成小歯の配列、一部コロニーの色がケカビ亜門のUmbelopsis属菌やクサレケカビ属菌に類似していることに気づいた。そこでEvansが記載に用いたCBS株、NBRC株3株、菅平株の18SrDNAの塩基配列を決定し、系統解析した結果、本属菌はケカビ亜門のクレイドに属しクサレケカビ目と姉妹群を形成することが明らかになった。この結果はケカビ類に従来知られていない系統群が存在することを示している。
本研究の一部は財団法人発酵研究所(2006-2008)を受けて行った。
引用文献
H. C. Evans (1971) Trans. Br. mycol. Soc. 57:241-254.
G. S. de Hoog(1974) Studies in Mycology No. 7. CBS, Baarn.
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© 2009 日本菌学会
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