抄録
南西諸島の植物病害調査の一環として, 2008年8月8~16日にトカラ列島(鹿児島県十島村)の中之島と宝島において調査を行った. 中之島では19属20種, 宝島では16属17種, 計35属37種の試料を採取した. うち現在まで13属13種の植物上に9属14種の病原菌類を検出・分離した. 両島のハマユウから検出したPhyllostocta属菌は, 分生子が10~20×7.5~11.5㎛と大形で頂部に12~45㎛の長い付属糸を持ち, 既知種に近似種がなく, 新種の可能性が高い. マサキ上の既知6種のPhyllosticta属菌はすべてPhyllosticta s. str.から除外され(Aa & Vanev, 2003), 中之島産の菌の所属は病原性も併せて検討を要する. ヘクソカズラの菌はPhyllosticta boninenseと考えられた. ツワブキには中之島でGlomerella, 宝島でColletotrichumが検出され, 病葉上と分離株の形態からG. cingulataとそのアナモルフと同定され, 病原性の検討中である. インドナガコショウとシュロ上のFusicoccum属菌, ツルソバ上のSeptoria属菌, ブッソウゲ上のPhomopsis属菌, クロツグ上のPhoma属菌, モッコク上のLophodermium属菌, マサキ上のPestalotiopsis属菌については, それぞれ形態を培養により種の検討中である. トカラ列島の植物病原菌類については, 1950~1960年代に行われた琉球大・東京教育大の共同調査によるさび病菌の調査報告以外は, ほとんど報告は無く, 今後季節を変えて調査を継続してゆく予定である.