2013 年 15 巻 4 号 p. 230-236
スモールユニラメラベシクル(SUV) では曲率半径が膜の厚さと同程度になるほど極端に曲がっているため,変形による弾性エネルギーの変化を平面膜からの摂動として取り扱うことが正当化できない.それゆえSUVの弾性係数は平坦な膜の分子動力学計算から得られる値と大きく異なることが予想される.本稿では球形の膜の法線方向に関する圧力プロファイルを用いてSUVの弾性係数の曲率依存性を評価する方法を提案する.本稿で提案された計算方法を用いて評価されたサドルスプレイ弾性係数は平面膜で計算されたものと比べて,SUVの開口変形を記述するフロムヘルツの理論曲線とよく合うことがわかった.