2016 年 18 巻 2 号 p. 90-94
分割統治(DC) 法は,局所正準分子軌道(LCMO) を用いるフラグメント分割型のオーダーN [O(N)] 電子状態計算法の一つである.バッファ領域を導入することにより,LCMO を構築する局在化領域に重なりを持たせて計算するのが特徴で,これにより非局在化した電子状態も比較的高い精度で計算することが可能である.本稿では,筆者らが開発を進めてきたDC 法に基づくHartree-Fock および2 次Møller-Plesset 摂動エネルギーとその勾配の計算法を概観し,これらを利用した分子動力学シミュレーションについても述べる.