2017 年 19 巻 4 号 p. 274-278
高分子材料は幅広い工学的用途に用いられているにもかかわらず,その物性予測は依然として効率的な設計・合成・加工のために解決すべき積年の課題となっている.概して,一次構造レベルの情報がメソ~マクロスケールにおける物性に影響を及ぼすためである.この問題をシステマティックに解決する糸口として,原子レベル分子動力学法を起点とした階層的連携シミュレーションが期待されている.本稿ではその足掛かりとして,高分子物性の普遍性に着目した原子レベル分子動力学法と粗視化分子動力学法との相互接続を試みる.