今回の特集ではこの長距離相互作用の効率的な計算手法について,基礎から応用例までが解説・紹介されている.慶應義塾大学の三上益弘先生による記事では,周期境界を生かした最も基本的な長距離相互作用計算手法であるEwald法について,一般化形式であるEwald-Bertautの方法,ならびにその二次元系への応用(Parryの方法)を解説頂いている.また,BarnesとHutにより提案された階層的アルゴリズム(Barnes-Hut Tree)に端を発する多重極子を用いた長距離相互作用計算手法についても記載されている.この記事に目を通せば,当該分野にて支持されている主要な手法のあらましを知ることができる.特に初学者の方にとって大変参考になる資料となることが期待される.