2020 年 22 巻 2 号 p. 110-117
凝縮系では,幅広い時間・空間スケールをもつ複雑な揺らぎが普遍的にみられる.さらに,相互作用の強い系や温度の低い系においては,揺らぎにより時間とともに変化する局所環境等に起因する不均一性により,その揺らぎの様相はさらに複雑なものとなる.系の揺らぎは時間相関関数や応答関数で解析することができる.しかし,スペクトルの裏に潜む揺らぎの時間変化や集団平均で記述できない不均一な揺らぎや状態変化の解明には,三時間の相関関数や応答関数の解析が必要となる.ここでは,三時間応答関数および三時間相関関数およびその二次元振動・寿命スペクトルにより何が分かるかについて概観する.