2024 年 26 巻 1 号 p. 61-67
固相析出の初期段階である核生成過程において,液液相分離によって無秩序な液クラスターを介して固体に至るという,従来の想定と異なる二段階経路が近年注目されている.本稿では,従来の想定であった固相への一段階経路と二段階経路とを分ける鍵因子の解明を目的として,相互作用と分子形状が単純なLennerdJones 分子を用いた分子シミュレーション検討から,分子間相互作用の強さと分子サイズが経路に与える影響を整理し,分子の特性値から経路を予測する熱力学モデルを構築した我々の最近の研究について紹介する.