2024 年 26 巻 3 号 p. 251-255
固体表面と気液界面の交線である接触線が移動する際,前進側と後退側で接触角が変化することが広く知られている.これに加えて,非平衡分子動力学解析(NEMD)により,前進接触線と後退接触線で生じる熱的な差が明らかになった.液体のバルクについては粘性散逸により発熱することが予想され,同様に前進接触線では温度が上昇する一方,後退接触線では予想に反して温度が低下することが示された.本文では,NEMDを用いた熱輸送解析手法,および,後退接触線での冷却メカニズムについて紹介する.