マイコトキシン
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修正環食128 号法におけるカラムクロマトグラフィーと2方向展開薄層クロマトグラフィーによるクリーンアップの比較
伊藤 嘉典
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2002 年 52 巻 1 号 p. 87-93

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抄録
日本のアフラトキシン(AF)分析法である環食128 号法の問題点として,多量の溶媒を必要とすること,ならびに分析時間に長時間を要することが挙げられる.特に,シリカゲルカラムクロマトグラフィーによるクリーンアップにおいて著しく,加えてクリーンアップ効果の悪さが指摘されている.そこで,これらの点を改良することを目的として,2方向展開薄層クロマトグラフィー,薄層プレート上でクリーンアップと定量を行う方法(薄層クリーンアップ法)を修正環食128 号法に取り入れた.AF の自然汚染が確認されたレンズ豆,キビ粉, ソバ粉, ピーナッツを試料とし,従来のシリカゲルカラムクロマトグラフィーによるクリーンアップ法(カラムクリーンアップ法)とクリーンアップ効果,使用溶媒量,処理時間について比較,検討した結果, 薄層クリーンアップ法を行った全ての試料でカラムクリーンアップ法を用いたものよりも高い測定値を示した.AF 非汚染試料を用いたAFB1 の添加回収率(%,N= 3)は薄層クリーンアップ法とカラムクリーンアップ法では, それぞれ91.3%-96.6%と88.6%-93.6%であった.また,1試料当たりの薄層クリーンアップ法とカラムクリーンアップ法で使用した溶媒量は,それぞれ50.5 ml と652.5 ml,同様に処理時間は,おのおの77分-87分と102分-125分であった.
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© 2002 日本マイコトキシン学会
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