抄録
2001 年にJECFA(The Joint FAO/WHO Expert Committee on Food Additives)により, デオキシニバレノール(DON)の暫定一日摂取耐用量として1 kg 体重当たり1 μg という値が示された.我が国においても,小麦汚染DON によるヒト健康 に対するリスクが懸念されたため,国内で流通している小麦玄麦を対象として汚染実態調査を行った.その結果,一部玄麦について,上記の暫定一日摂取耐用量を越える摂取量を招来することが懸念されたため,厚生労働省はとりあえず小麦中のデオキシニバレノール汚染レベルについて暫定基準値(小麦玄麦1 kg 当たり1.1 mg)を示し,それに基づいて行政指導を行うこととした.あわせてDON の分析方法も示した.