マイコトキシン
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シンポジウム
トリコテセンの穀類中の汚染実態とそのリスク
田中 敏嗣杉浦 義紹
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2003 年 53 巻 2 号 p. 119-121

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抄録
2001 年FAO/WHO 合同食品添加物専門家会議(JECFA)はデオキシニバレノール(DON)の暫定最大1日耐容量(PMTDI)を1 μg/kg(体重)に評定した.厚生労働省は食品衛生法第7 条に基づく規格基準設定に向けた小麦に含有するDON の暫定的な基準値を1.1 mg/kg に定め,行政上の指導指針とした.昨年度に実施した麦類の汚染調査の結果,国内産小麦36 試料中33(92%)にDON の汚染が認められ,その平均濃度は388 μg/kg(濃度範囲0 ~ 2,248 μg/kg)で,4 試料が暫定基準を超えていた.輸入小麦では75%に汚染が認められ,平均濃度は100 μg/kg(濃度範囲0 ~ 740 μg/kg)であった.日本人の小麦の平均摂取量89.8 g,加工によるDON の減衰率を50%と仮定した場合,TDI 比率は国産,輸入小麦でそれぞれ34.8%,9%となる.なお,供試試料の多くはニバレノールとの複合汚染が認められた.今後継続した汚染実態の究明と圃場での汚染防止対策,人の健康への影響評価が講じられる必要がある.
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© 2003 日本マイコトキシン学会
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