マイコトキシン
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シンポジウム
トリコテセンの毒性影響としての腎障害
日ノ下 文彦
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2003 年 53 巻 2 号 p. 123-127

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抄録
マイコトキシンの一部は腎臓にも障害を及ぼすことが知られているが,最も有名なものがオクラトキシンである.これは,1950 年代にバルカン諸国からの報告が相次いだ腎・尿路系を侵す風土病で,65 年にWHOが正式に認定した Balkan endemic nephropathy(BEN)の原因物質と考えられている1,2).BEN の病態は主として尿細管の変性・機能障害,間質の繊維化,糸球体の硝子化であり,やがて腎機能障害が進行して腎不全に陥るものである.しかも,BEN に陥った症例では腎盂や尿管に腫瘍が発生しやすいことも知られており,多発地域では無視できない大きな問題となっている.オクラトキシン以外ではチトリニンやルブラトキシン,フモニシン等が腎臓毒性を有するマイコトキシンとして報告されている.ヒトにおけるトリコテセンの腎毒性はまだ報告されてないものの,ニバレノール(nivalenol, 以下 NIV)やデオキシニバレノール(deoxynivalenol, 以下 DON)が腎障害を惹起することが動物実験で確認されているので,これまで得られた知見を中心に報告する.
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© 2003 日本マイコトキシン学会
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