抄録
醸造食品製造に使用される国内産市販米麹のシクロピアゾン酸 (CPA) 汚染を, 新規に考案した分析法により検討した. 18都道府県から集めた米麹38検体のうち, 1検体にCPAが検出され, その汚染濃度は480 μg/kgであった. 本米麹から, PDA培地上で白色コロニーまたは黄緑色コロニーを示す2つのタイプの菌がほぼ同率で分離された. これらの両タイプの菌について, 精白米培地を用いた固体培養によりCPA産生性を検討したところ, 黄緑色コロニーのタイプのみがCPAを産生した. これらのことから, 本CPA産生菌が米麹のCPA汚染に関与していることが示唆された.