2013 年 63 巻 1 号 p. 9-15
トリコテセンは,フザリウム属等の糸状菌によって生産されるカビ毒であり,重要穀類を汚染し,家畜や人の健康を害する.本研究では,出芽酵母の遺伝子破壊ライブラリーを用い, A型トリコテセンの T-2 toxin,及び,D 型トリコテセンの verrucarin A に対する高感受性遺伝子破壊株のスクリーニングを行った.その結果,これら二つのトリコテセン共通に高い感受性を示す遺伝子破壊株が数多く見つかった.これらの株における破壊遺伝子はトリコテセン耐性を担う遺伝子と考えられるが,そこには ABC 輸送体,エルゴステロール合成酵素,液胞型プロトン ATPase 等のタンパク質をコードする遺伝子が含まれていた.