マイコトキシン
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芍薬甘草湯及び他の漢方処方の構成生薬がEmericella nidulansのsterigmatocystin産生に与える効果
井上 信宏若菜 大悟武田 尚矢口 貴志細江 智夫
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2018 年 68 巻 1 号 p. 19-25

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抄録

 漢方薬が真菌の二次代謝産物産生能に与える影響を調べるため,漢方薬添加培地でEmericella nidulans IFM 60678を培養した結果,芍薬甘草湯を含む十数種類の漢方薬でsterigmatocystin(ST)が産生された.また,芍薬甘草湯の構成生薬である芍薬エキスがST誘導能を示すことを明らかとした.次に,非ST産生E. nidulansおよびAspergillus flavus菌株に対する芍薬エキスの作用について検討し,その作用がE. nidulansのみに有効である可能性を見出した.さらに他の生薬についてE. nidulansに対するST誘導能を検討した結果,芍薬以外の生薬もE. nidulansのST産生を誘導する作用があることが,明らかとなった.我々はこのユニークでシンプルな方法が,新規天然物の発見やマイコトキシンの産生制御に繋がると考えている.

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© 2018 日本マイコトキシン学会
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