論文ID: 75-2-3
日本は食糧や飼料の輸入に強く依存しているため、輸入食品や農産物のアフラトキシン(AF)汚染リスク増加を理解することは重要であるが、近年の気候変動に起因する国産農産物の汚染リスクについても向き合う必要がある。しかしながら、国内のAF産生菌に関する情報は集積の途上にある。本研究では国内の米乾燥調製設備の残渣から分離された4株のAspergillus flavusに関するドラフトゲノム情報を報告する。4株の内、3株はAF産生菌であった。残りのAF非産生株はAflRの翻訳異常に起因するAF合成遺伝子の発現阻害が予測された。さらに、3つのAF産生菌のAflRアミノ酸配列にはそれぞれ違いがあり、国内株の遺伝的多様性が確認された。本研究ではAF産生菌を判別可能な違いは確認されなかったが、本ゲノムデータセットの活用は国産農産物のAF汚染防止に貢献するだろう。